ロレックスブログ2020

芸術的な時計との出会い  文・菅原 茂

1990年代初頭の初夏、スイスの著名な高級時計ブランドの取材のためにジュネーブに滞在していた時のことだ。ある晩、ブランドの広報担当者に誘われ、ヴィクトリアホールでマーラーの長大な『交響曲第2番』を聴いた。今でもこの曲が時計取材の記憶と結びつき、さまざまな場面が克明に思い出せるから不思議だ。マーラーの作品には、どこか映画音楽のようなところがあり、心地良い響きがサウンドトラックになって、思い出のシーンが甦ってくるのだ。

それ以来、滞在先での余暇の過ごし方に、美術館めぐりだけでなく、音楽鑑賞も加えるようになった。スイスではジュネーブのヴィクトリアホールをはじめ、チューリッヒのトーンハレ、ルツェルンのカルチャーコングレスセンター、ドイツではドレスデンのゼンパーオパーなどに足を運んだ。そこで聴いたさまざまな音楽もまた、当時を思い出す一種の貴重な記憶装置になっている。

さて、最近のクラシック公演で最も印象深かったものといえば、昨年11月に東京で開催されたモーリス・ベシャール振付によるベートーベンの『第九交響曲』である。しかし、年末お約束の『第九』とはまったく趣の異なる『第九』なのだ。巨匠ズービン・メータの指揮によるオーケストラの生演奏に合わせて、スイスのモーリス・ベジャール・バレエ団と東京バレエ団による芸術的な創作バレエが特設ステージいっぱいに繰り広げられるという、衝撃的で驚くべきプログラムだった。このバレエは、モーリス・ベジャールが1964年に発表したものだが、今回の公演は15年ぶりの再演で、今年6月にローザンヌとモンテカルロで公演があるものの、この顔合わせでは行われない、というから、もし見逃していたら二度と観る機会はなかっただろう。1990年代初頭の初夏、スイスの著名な高級時計ブランドの取材のためにジュネーブに滞在していた時のことだ。ある晩、ブランドの広報担当者に誘われ、ヴィクトリアホールでマーラーの長大な『交響曲第2番』を聴いた。今でもこの曲が時計取材の記憶と結びつき、さまざまな場面が克明に思い出せるから不思議だ。マーラーの作品には、どこか映画音楽のようなところがあり、心地良い響きがサウンドトラックになって、思い出のシーンが甦ってくるのだ。

それ以来、滞在先での余暇の過ごし方に、美術館めぐりだけでなく、音楽鑑賞も加えるようになった。スイスではジュネーブのヴィクトリアホールをはじめ、チューリッヒのトーンハレ、ルツェルンのカルチャーコングレスセンター、ドイツではドレスデンのゼンパーオパーなどに足を運んだ。そこで聴いたさまざまな音楽もまた、当時を思い出す一種の貴重な記憶装置になっている。

さて、最近のクラシック公演で最も印象深かったものといえば、昨年11月に東京で開催されたモーリス・ベシャール振付によるベートーベンの『第九交響曲』である。しかし、年末お約束の『第九』とはまったく趣の異なる『第九』なのだ。巨匠ズービン・メータの指揮によるオーケストラの生演奏に合わせて、スイスのモーリス・ベジャール・バレエ団と東京バレエ団による芸術的な創作バレエが特設ステージいっぱいに繰り広げられるという、衝撃的で驚くべきプログラムだった。このバレエは、モーリス・ベジャールが1964年に発表したものだが、今回の公演は15年ぶりの再演で、今年6月にローザンヌとモンテカルロで公演があるものの、この顔合わせでは行われない、というから、もし見逃していたら二度と観る機会はなかっただろう。


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